流通しているヨツユビハリネズミとアルジェリアハリネズミとの交雑の真相!

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ペットとして大人気のアフリカピグミーハリネズミ(APH)。実はこれ、ヨツユビハリネズミ(Atelerix albiventris)とアルジェリアハリネズミ(Atelerix algirus)のハイブリッドだっていう話、聞いたことありますか?この説、長い間信じられてきました。でも、実際のところはどうなんでしょう?

この記事の目次

ヨツユビハリネズミ vs アルジェリアハリネズミ

まず、ヨツユビハリネズミとアルジェリアハリネズミの違いを見てみましょう。

便宜上、本文ではペットのヨツユビハリネズミをアフリカピグミーヘッジホッグと呼び、ヨツユビハリネズミカラーをヨツユビ血統、アルジェリアハリネズミ血統をアルジェリア血統と呼びます。

ヨツユビハリネズミ

ヨツユビハリネズミ

後ろ足に4本の指があって、足は小さく、脚も短め。体重やサイズはペットとしてよく見るハリネズミと同じくらい。

色は白やクリーム色の針が多くて、目の下に暗いマスクがあるのが特徴です。

アルジェリアハリネズミ

脚が長くて、すべての足に5本の指があります。

走るのも早くて、木登りも得意なんです。

体はヨツユビハリネズミよりも大きめで重たい傾向があります。

針の色は白やクリーム色が先端にあって、マスクは薄めか、ほとんど見られません。

腹の毛は茶色からクリーム色までさまざまです。

交雑説の真相は?

アルジェリアハリネズミとヨツユビハリネズミが交雑しているという説があります。

でも、この説にはいくつかの問題点があるんです。

地理的な問題

オレンジ:ヨツユビの生息地
紫:アルジェリアの生息地
赤:輸入業者が捕獲していた地域

主なハリネズミの輸出業者は中央アフリカからハリネズミを輸出していて、アルジェリアハリネズミの生息地からはかなり遠いんです。

地理的に見ても、この2種類が自然に交雑するのは現実的ではありません。

見た目の違い

アルジェリア血統とされるアフリカピグミーヘッジホッグは、実際にはヨツユビハリネズミと見た目がほとんど変わらないことが多いんです。

足の構造や体重、サイズに大きな違いが見られないことから、交雑の可能性は低いと言えます。

色の違いとその謎

インターナショナル・ヘッジホッグ・アソシエーション(IHA)のカラーガイドには、ヨツユビ血統とアルジェリア血統の2つの異なる色のグループがあります。

でも、これらの色の違いが交雑によるものかどうかは不明です。

色の特徴

ヨツユビハリネズミは白やクリーム色の針を持ち、暗いマスクが特徴です。

一方、アルジェリアハリネズミは先端が白やクリーム色の茶色や灰色の針を持ち、マスクは薄めです。この違いが交雑説の証拠にはなっていないんですね。

輸出の歴史

1970年代後半から1980年代にかけて、アメリカにシロハリネズミが輸出されましたが、本格的な輸入が始まったのは1990年代からです。

ナイジェリアのラゴスから輸出されたハリネズミが市場に出回り、アフリカピグミーハリネズミとして知られるようになりました。

輸出業者の話

主要な輸出業者のリチャード・スタッブス氏は、1990年代前半にナイジェリアでハリネズミを購入し、ニューヨークに輸出しました。

これがきっかけで、アフリカピグミーハリネズミがペットとして人気を博し、一大ブームが起こりました。

地理的な非論理性

スタッブス氏や他の輸出業者は中央アフリカからハリネズミを輸出していましたが、北アフリカのアルジェリアハリネズミの生息地に到達するのは地理的に難しいです。

中央アフリカと北アフリカの間には広大なサハラ砂漠があり、これが種間交雑の障壁になっています。

アルジェリアハリネズミとヨツユビハリネズミの色の違い

アルジェリアハリネズミとヨツユビハリネズミの色の違いは、IHAのカラーガイドでも認識されていますが、実際に遺伝的な交雑によるものかは明確ではありません。

たとえば、アルジェリア血統ははっきりした白と黒色の針を持ち、暗いマスク、お腹のマダラ模様が特徴的です。

一方、ヨツユビ血統は先端が白やクリーム色の茶色や灰色の針を持ち、マスクが薄いです。

左がヨツユビ血統と言われるカラー
右がアルジェリア血統と言われるカラー

野生のハリネズミの写真や説明を見ると、マスクのないのはアルジェリアハリネズミで、ヨツユビハリネズミは頬に大きな斑点のある暗いマスクを持つ傾向があります。

でも、カラーガイドではその逆になっています。ちょっとややこしいですね。

亜種説の考察

ハリネズミの種間交雑の証拠が乏しい中で、亜種説が提唱されています。

これは、ヨツユビハリネズミとアルジェリアハリネズミが実際には同一種の異なる亜種である可能性を示唆しています。

亜種間の交雑の可能性

亜種間の交雑は、完全に異なる種間の交雑よりも一般的で、繁殖力のある子孫を残すことができます。

このため、ヨツユビハリネズミとアルジェリアハリネズミの交雑が、亜種間の交雑として起こっている可能性があります。

遺伝的多様性の維持

亜種間の交雑は、遺伝的多様性を高め、健康で適応力のある個体を生み出すのに役立ちます。

これは、ペットとして飼育されるハリネズミにとっても大きな利点です。

カラーパターンの多様性

ヨツユビハリネズミ内の亜種がさまざまなカラーパターンを持っているのは、亜種間での交雑の結果である可能性があります。

異なる亜種間での交配により、色や模様が多様化し、ペットとしての魅力が増す一因となっています。

交雑の証拠の欠如

現在までのところ、アルジェリアハリネズミとヨツユビハリネズミの交雑が行われているという確固たる証拠は見つかっていません。

多くの専門家は、これらの種が地理的に離れていることから、自然界での交雑は非常に稀であると考えています。

また、交雑種が繁殖力を持つかどうかについても疑問が残ります。

まとめ

日本で流通しているヨツユビハリネズミがアルジェリアハリネズミとの交雑種であるという説には疑問が残ります。

多くの専門家は、交雑の証拠が乏しいと指摘しています。亜種説も含めて、ハリネズミの進化や分布についてのさらなる研究が必要です。

今後もハリネズミの遺伝子研究が進むことで、正確な情報が明らかになることを期待しましょう。

さらに、ペットとしてのハリネズミの飼育方法や健康管理についての知識を深めることで、より良い飼育環境を提供できるようになることが重要です。

私たちのペットのハリネズミは、中央アフリカのサバンナを走り回る野生のハリネズミとほとんど同じ姿をしています。

これからも研究が進むことで、ハリネズミの行動、食事、自然環境についての理解が深まり、より良いケアが提供できるようになるでしょう。

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はりねずみびれっじ

横浜のペットショップ「はりねずみびれっじ」です。ハリネズミを中心に、フクロモモンガ、ミーアキャット、チンチラ、ハムスターなどの小動物たちをご紹介しています。

私たちは、ペットとの楽しい暮らしをサポートするための正しい知識を提供し、皆さんのペットライフにちょっとした喜びをプラスすることを目指しています。

ぜひお店に遊びに来て、かわいい家族たちとの出会いを楽しんでくださいね!

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