アンティングって何?
言葉の意味
アンティングは英語で「Anting」と書きますが、日本語では「泡付け」「唾液塗り」「香油塗り」などとも呼ばれます。Antingは本来「蟻浴(ぎよく)」という意味がありますが、ハリネズミのアンティングはこれとは異なる行動です。
この行動によって寄生虫を減らす効果があると言われているんだ!
英語ではハリネズミのアンティングは「Self-anointing(自己塗布)」とも呼ばれ、多くの動物で見られる行動です。
この行為は動物によって意味が異なりますが、主に以下の目的があります。
- 自主服薬
- 寄生虫駆除
- 擬態
- コミュニケーション
Self-anointingはAntingの一種と見なされているため、ハリネズミでもこの用語が使われるようになったと考えられます。
アンティングの定義
アンティングは、ハリネズミが新しい匂いや味に出会ったときに行う特有の行動です。具体的にはこんな感じです。
- 新しい匂いや味を舐める
ハリネズミは新しい物を見つけると、それを舐めたり軽く噛んだりします。 - 唾液と混ぜる
その後、その物質を唾液と混ぜて、泡状の物を作ります。 - 体に塗る
できた泡を自分の背中や体の他の部分に塗りつけます。
- 新しい匂いや味を舐める
アンティングの理由
ハリネズミの場合、新しく感じた匂いや強い刺激的な匂いに対してアンティングをします。
ある研究結果では自立したヤング個体はアダルト個体以上にアンティングを行い、メスよりオスの方がアンティングをしていたという結論が出されています。
また夏にアンティングの回数が一番観測された為、年齢・性別・季節などによって異なることが分かってます。
アンティングを行う理由にはいくつかの説があります。
- 捕食者からの保護説
アンティングによってハリネズミは捕食者を混乱させ、身を守ることができるという説があります。
この行動により、捕食者からの攻撃を避ける効果があるとされています。 - 匂いのカモフラージュ説
ハリネズミは自分の匂いを新しい匂いで隠すことで、敵から身を守るという説があります。
これにより、捕食者からの発見を避けることができると考えられています。 - 健康維持説
新しい物質に含まれる成分が、ハリネズミの皮膚の健康や寄生虫の防除に役立つという説があります。
このためアンティングはハリネズミの健康維持に重要な役割を果たしているとされています。 - 毒素に対する耐性説
ハリネズミは毒素を持つ物を噛んで唾液と混ぜ、それを体に塗ることで毒素に対する耐性をつけるという説があります。
実際に、ヒキガエルの毒素を体に塗って耐性をつけているハリネズミが確認されています。このような行動により、ハリネズミは多くの毒に対して耐性を持つことができるとされています。
ハリネズミ以外のアンティングを行う動物たち
アンティング行動はハリネズミに限らず、他の動物でも見られます。ここでは、いくつかの興味深い事例を紹介します。
- ナキガオオマキザル
ナキガオオマキザルは、オレンジ、タマネギ、ニンニク、シトロネラなどの植物や、アリやヤスデといった動物由来の物質を体に塗ることで知られています。
この行動は、蚊などの虫除け効果や、寄生虫駆除、コミュニケーションなどの目的があると考えられています。
また、霊長類ではジェフロイクモザルやワオキツネザルも同様のアンティング行動を示すことがあります。
- ジリス
日本でも親しまれているジリスの中には、アンティングの習性を持つ種類もいます。これらのジリスは、ガラガラヘビを噛み、その匂いを体に擦り付けることで、天敵から身を守ります。
- ヒグマ
北アメリカに生息するヒグマもアンティング行動を行います。Ligusticum porteriという植物の根を唾液と混ぜて体に擦り付けることで、防虫効果を得ています。
このように、自然界ではハリネズミ以外にも多くの動物がアンティング(セルフアノインティング)を行っており、それぞれの目的や方法も多様です。
アンティングが見られるシーン
新しい食べ物
ハリネズミが初めての食べ物に出会ったとき、アンティングがよく見られます。新しい食べ物の匂いや味に反応して行動します。
新しい環境
新しい場所や匂いがする場所に移動したときにもアンティングが見られます。環境の変化に敏感なハリネズミは、新しい場所でこの行動を行います。
新しいおもちゃ
新しいおもちゃや物質に触れたときも、ハリネズミはアンティングをすることがあります。新しい刺激に対する反応としての行動です。
アンティングへの対処法
観察の重要性
アンティングは自然な行動ですが、その頻度や状況を観察することが大切です。
過度な場合はストレスのサインかもしれないので、注意深く見守りましょう。
安全な環境作り
ハリネズミが口にする物質が安全であることを確認しましょう。
有害な物質は避け、常に安全な環境を提供することが重要です。
アンティング後の泡は取り除くべき?
ハリネズミがアンティングした後の泡は、特に取り除く必要はありません。
ハリネズミにとって自然なもので、無理に取ることはかえってストレスになってしまいます!
ただし泡が長時間残っている場合や、ハリネズミの皮膚に異常が見られる場合は、獣医に相談するのが良いでしょう。
普段は、ハリネズミ自身が自然に処理するので心配いりません。
他の面白い行動
ボール状に丸まる
ハリネズミが怖がったり、驚いたりすると、体を丸めてトゲで身を守ります。
これは彼らの防御反応の一つです。
夜行性
ハリネズミは夜行性で、夜になると活発に動き回ります。
昼間は大体寝ています。夜
行性の習性を理解し、適切な生活リズムを保つことが大切です。
まとめ
愛くるしい見た目とは裏腹に、野性的な一面を垣間見せるハリネズミのアンティング。
それは単なる奇妙な行動ではなく、彼らの本能と深く繋がる、実に興味深い習性なのです。
この行動を理解し、適切に対処することは、ハリネズミの健康と幸福を守るために欠かせません。
飼い主にとって、アンティングは愛らしいハリネズミの姿とは異なる、野性的な魅力を堪能できる貴重な機会となるでしょう。
ハリネズミとの暮らしをより豊かにするために、彼らの行動をよく観察し、必要なケアを提供していきましょう。